理事長ブログ「忘己利他」54

ビジネスコミュニケーション「仕事がはかどる話し方のコツ」
 ◆よりよく生きるためのツール ~ 究極のコミュニケーション能力を磨く ~

第54回 あなたの話力が説得の効果を左右する

合宿

話力総合研究所 理事長
話力インストラクター研修会

 説得は「説明してわからせ、納得させて動かす」でしたね。相手にも事情や都合がありますから、難しいです。巧みな話術、小手先の対応では、相手に「心のしこり」を残すことになるかもしれません。うそ、ごまかしがあると、たとえその時はうまくいったとしても相手に「だまされた」という気持ちを残すことになりかねません。長い目で見たら人間関係にマイナスですね。

 米国流の説得術に次のようなものがあるそうです。募金を求める際のテクニックです。

「even a penny technique」

 日本流にいえばこうです。少額の「10円でいいから募金して」と言いましょう。そうすれば、多くの人が募金しようとするでしょう。しかも10円ではなくて100円くらいは募金してくれるはずです。

「door in the face technique」

 「1000円募金して!無理なら100円でもいい。」最初にハードルをあげておいて、断られる前にぐっと下げる方法ですね。他国との交渉を主としてこの方法で行ったどこかの国の大統領がいましたね。

「low ball technique」

 100円募金してほしい時に「90円募金して」という。募金しようとしたら、「あと10円出してくれれば施設も作れるんですが」という。

 いかがですか? どのような印象を持たれますか? 米国は合理主義の国、契約の国、ディベートの国ですから、こういう方法論が成り立つのかもしれません。しかし、日本人の感覚としてどうでしょうか?「だまされた!」「うまく乗せられた!」などという思いを持ちませんか? そうでなくとも少々違和感がありますよね。日本では、米国流を無考慮に使うのは控えたほうがよさそうです。

 効果をあげるには、やはり自分の話力を磨いて臨まなければなりません。話力の基本要素を磨きましょう。何でしたか? 覚えていますか? そうですね。「心格力」「内容力」「対応力」です。説得力を高めるために、次の点を意識してください。

(1)心格力を磨け

① 日頃の言動が説得の効果に影響する

 例えば、日頃誰かが困っていても協力しようとしないのに、自分が困ると「協力してくれ」では、虫が良すぎますね。周りの人だって、協力したくないですよね。たとえ助けてあげたとしても、「普段、協力しないくせに、自分勝手だな」などという気持ちはぬぐえないでしょう。

 身勝手な言動を繰り返す人に対しても、気持ちが離れますね。説得の効果を高めるためには、日頃の協力姿勢、日頃の相手に寄り添う言動が大切です。

② 人間関係が説得の効果を左右する

 誰でも好き嫌いはありますね。人間ですから。嫌いな人、苦手な人から飲食に誘われたらどうですか? 用事がないのに、突然急用ができたりしませんか? 「今日、この後空いている?」「いや、仕事がたまっているので。。。」「仕事なら、明日がんばればいいじゃないか」「いや、子供が病気で。。。」「。。。」 一方、好意を持っている人から誘われたら、どうですか。たとえ忙しくても何とか都合をつけませんか?人間関係が説得の効果を左右するのです。

③ 会う機会をもて

 たとえ、嫌いな人、苦手な人でなくても、人間関係を保つ努力を怠ってはいけません。皆さんは経験ありませんか。「ボーナスの時だけの同級生」ボーナス時期になると金融機関に勤めている同級生がやってきて、預金するように頼まれる。その後はしばらくご無沙汰で、またボーナスの時期にやってくる。最初の頃はよいのですが、そのうち「利用されているだけか」という気になりますね。そういう気持ちにさせてはマイナスです。日頃から会う機会をもって、好意的にかかわる努力が必要ですね。

(2)内容力で勝負

 ① 説得する事柄について十分に理解する

 小泉内閣の際に民間から経済閣僚に就任した経済学者の竹中平蔵さん(1951~)。大臣としてはじめて国会に臨み、他の大臣の答弁を聴いていました。終了後、記者からインタビューされました。「他の大臣の答弁はいかがでしたか?」竹中先生、「説得力のある答弁はメモや資料を見ないでなされたときに生まれるということがわかりました。」と答えていらっしゃいました。

 説得する事柄を十分に理解して話さなければ、相手に伝わるものではありません。場合によっては、自信のなさが伝わり、相手を不安にさせてしまうかもしれません。

 ② 自らが納得していなければ訴える力が弱まる

 自分が納得できれば、自信をもって話せますね。相手にその熱意が伝わります。「私にはたいして効果がないのですが、あなたには良いと思うから使ってみて!」などと言われても、心に響いてきませんね。

 (3)対応力を生かせ

 ① 相手に与える印象で結果が変わる

 自信を持った態度は相手に安心感を与えます。感じの良い言動は相手を心地よい気持ちにします。話力講座を受講くださったXさんの自己紹介が今でも印象に残っています。

 「私の趣味は読書です。1日に何冊も読みます。ですから、毎日のように帰宅するときに書店によって気に入った本を買います。家の近くに本屋があるのですが、そこにはいきません。駅から自宅とは反対方向にある本屋へわざわざ行きます。なぜって、家の近くの本屋は本を放り投げるように雑に扱います。不快です。それに対して、駅の向こうでは、購入した本を丁寧に装丁して、うやうやしく掲げて渡してくれます。気持ちがいいのです。」同じ書店です。どちらでも本を買えますが、ちょっとした印象により結果が変わってきますね。

 皆さんも贔屓にしている飲食店、書店、衣料品店など、ありますよね。他でも買えるでしょうに、なぜそのお店に行くのですか?感じの良さが大きな理由のひとつではないですか。

 ② 長期的な視野で適切に対応せよ

 説得するときの心構えは「あきらめるな!粘れ!続けろ!!」です。しかし、相手に応じて「潮時を考える」ことも大切です。相手との人間関係、信頼関係を壊してしまっては元も子もありません。どこまで踏み込めるかを考えながら説得します。相手の表情、話し方、態度、しぐさなどを敏感に感じ取り、これ以上踏み込んでは逆効果だと思ったら、次の機会を探りましょう。あるいは、あらためて作戦を立て直すことが肝要です。

 

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