理事長ブログ「忘己利他」61

ビジネスコミュニケーション「仕事がはかどる話し方のコツ」
 ◆よりよく生きるためのツール ~ 究極のコミュニケーション能力を磨く ~

第61回 忠告!

 

話力総合研究所 理事長

話力総合研究所 理事長
  話力講座(科学編)

~ 情熱と冷静の間で ~

 前回は忠告の必要性についてお話ししました。では、どのようにしかったらよいのか? 悩んでいる方は少なくないですね。特にパワーハラスメントの問題が指摘され、パワハラ防止法の成立を契機として多くの方の意識が高まったように思います。相手を思って叱ったつもりが、知らず知らずに度を越してしまったり、「パワハラだ」と言われてしまっては何にもなりません。適切な基準を持っていないと、あたふたすることになるかもしれません。

 以前、高校や大学のスポーツ指導者を前に講演する機会がありました。その時に、ある高校野球の監督から質問を受けました。「素質があり、将来有望だと思って指導する。見込みがあるから叱るのだが、叱ったらやる気をなくして辞めてしまう。どうしたらいいのでしょうか?」最近は特に難しいですね。昔は子供の時から親や近所の人にあたりまえのように叱られ、ある意味「耐える力」が身についていました。少し前から若者のこの耐性が低いため、ちょっと叱られると大きなショックを受けがちなのでしょう。

 忠告の効果をあげるために、次の点を意識してください。

①相手の自尊心を守る

 頭ごなしに叱っては、「叱らなければよかった」という結果になりかねません。「正しいことを言うときほど慎重に」でしたね。

 ポイントは二つです。まずは、時と場に気をつけること。月曜の朝いちばん。これから1週間がんばろうというときに叱っては、一日中、あるいは1週間、暗い気持ちになりかねません。また、おおぜいがいるところで叱らないよう気をつけてください。たとえ、おおぜいでなくともライバルがいるところ、同期、部下、後輩のいる場で叱られてはたまりません。忠告する時は別室で、1対1が原則です。

 ふたつ目は、相手の性格、能力、耐力を把握したうえで忠告することが大切です。どこまで踏み込めるかをよく考えてください。踏み込みすぎて、反発を招いたり、やる気をなくさせては意味がありません。どこまで耐えられるか、相手に応じて作戦をたてます。効果が上がるように、あらためることができるように工夫なさってください。あせらず、じっくりです。場合によっては、すべて改めさせるのではなく、段階を踏むことも大切です。長期戦で臨んでください。

②日頃から好意的な関係づくりに努力する

 効果的にしかるには、好意的な関係、信頼関係、尊敬されることが大切だと第57回でお話ししました。日頃から好意的な人間関係を築くことが大切です。そのためには、相手の良い点を指摘する「ほめる」でしたね。ことばに出さなければ伝わりませんよ。

③「怒る」と「叱る」の違いを意識する

 実際に叱る時は、「怒る」と「叱る」「注意・忠告」の違いを意識し続けてください。

 「何やってんだ!」と思った瞬間、かっとなって忘れてしまいがちですよ。違いは何でしょうか?「怒る」というのは心の解放です。自分の気持ちをぶつけて、自分がすっきりしたいのです。その時の気分しだいです。「機嫌が良いと怒らないが、機嫌が悪いとすぐ爆発する」などということはないですか。自分本位。利己的と言ってもいいでしょう。

 「忠告」の目的は人を育てることです。愛情をもって、客観的な尺度で、誠実に忠告します。改めさせるべき事実があったら、改めさせるために忠告するのです。相手の成長を願って叱るのです。

 今、感情的になっていないか。相手のために叱っているか。相手の成長を願って叱っているか。常に反省しながら忠告する意識を持ってください。

④冷静と情熱のあいだで、勇気をもって本気でしかる

 そのためには、常に冷静でいなければなりません。感情的にならないことです。人間ですから大変難しいことですが、感情的になってしまうと相手も感情が先行します。「売り言葉に買い言葉」不毛な口論になりかねません。ぐっとこらえることです。

 また、「わかってくれるだろうか?」「反発されはしないか?」心配ですね。わかります。とはいえ、叱ると決めたら勇気と本気で叱ってください。必ず本気が伝わります。その情熱が相手に伝わるのです。たとえその時は十分でなくとも、いつかわかってくれるはずです。そう信じて本気で向き合ってください。

⑤相手の言い分を最後まで聴く

 頭ごなしに叱らないことです。「何も知らないくせに怒ってきた」「噂話を本気にして怒ってきた」などと思われないように。事実でないこと、噂話を信じて忠告しては、逆効果であるばかりか、その後に禍根を残します。信頼関係が崩れます。まずは、事実関係を確認します。どうするか? 相手の言い分を聴くところから始めます。「この頃、仕事がはかどっていないようだが、どうかしたか?」「例の件、うまくいっていないようだが、何か困っているのか?」などとまずは相手に尋ねます。相手の言い分をすべて吐き出して、事実関係を十分把握することから始めてください。

⑥改善策を示す

 頭ごなしに叱られると、それが事実でも反発したくなるものです。反発させないためにも、一緒に改善していこうとする雰囲気を高めてください。改めさせることが目的なのですから。こうしたらどうかとアドバイスする方法がありますね。それから、「今後どうすればいいだろうか?」と問いかけて、答えを見つけさせる方法もあります。

⑦励ましながら叱る

 忠告は相手の気持ちを暗くするものです。心にグサッと刺さります。相手に応じて、励ましながら叱るなど工夫が必要です。「君のこと期待しているから言っているんだ」「厳しいことだけれど、がんばってくれ。頼りにしているぞ。」など常に相手の自尊心に働きかけることが効果をあげるためにたいへん重要です。ただし、真実でなければなりません。本心で言っているのかどうか、相手は敏感に感じ取ります。

 ぜひ、愛情と情熱を傾けて、「育てる」気持ちで効果的な忠告をなさってください。

 

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