理事 林野浩芳の「話力に生かそう 風姿花伝」3

第3回 「よき能とは」

 このくだりは、まさにスピーチやプレゼンに当てはまります。私はスピーチをする時には、この言葉を思い浮かべています。

 「よき能と申すは、本説(ほんぜつ)正しく、珍し風体(ふうたい)にて、詰め所(つめどころ)ありて、懸かり幽玄ならんを第一とすべし。風体は珍しからねども、煩わしくもなく、直(すぐ)に下りたるが、面白き所をあらんを第二とすべし。これは、おおよその定めなり」

 良い能とは素材の基がはっきりしたもので、曲も面白く、見所もあり、全体の趣が優雅なものが一番である。曲はとくべつ面白くもないが、構成がごたごたせず、素直でのびのびとして、面白い所があるのが二番である。世阿弥はこう書いています。

 能を「スピーチやプレゼン」へ、曲を「全体的なトーン、調子」と置き換えて読んでみて下さい。

 私は世阿弥が二番とする、構成がごたごたしていない、素直でのびのび、少し面白さがあるスピーチを心掛けています。

 また世阿弥は、あまり面白くない能であっても「変化」を加えることで目新しさが得られる、とも書いています。能は時機と並べ方で生きて来る。創作された能が面白くない、と投げ出さず、工夫をすれば生きて来るのだ、と。

 これも、あまり面白くないと思ったスピーチ、上手く行かなかったプレゼンでも少し時間をおいて工夫をすれば、それが生きる時が来る、わけです。

 そのためにも人前でした話は記録に残しておくことも大切でしょう。

 話力を学ぶ我々にとっても、とても励みになる言葉だと思っています。

 

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