理事長ブログ「忘己利他」N10

ビジネスコミュニケーション「仕事がはかどる話し方のコツ」
 ◆よりよく生きるためのツール ~ 究極のコミュニケーション能力を磨く ~

改訂第2版

「9.ビジネスコミュニケーション 要は説明力!」

話力総合研究所 理事長
講義中

 自身のコミュニケーション能力を向上させたいと考えている人は少なくないようです。ビジネスの世界では、特に問題意識を持っている人、大いに活躍している人の中に多いですね。ひとことで職場の「コミュニケーション」といっても、課題は人それぞれです。効果的な指示・依頼のしかたを身につけたい。説得力、交渉力を高めたい。部下がやる気をなくさないよううまくしかりたい、注意したい。部下をほめても良いのだろうか。図に乗らないだろうか。失敗など、よろしくないことを適切に報告する方法はないだろうか?等々。私どもの話力講座を受講くださる方は、それぞれこうしたテーマをもっていらっしゃいます。

 「ビジネスコミュニケーション」の主な要素は、指示・依頼、説得、報告、称賛、忠告です。そしてこれらの要素のすべてに必要な共通の要素が「説明」です。したがって、説明はビジネスコミュニケーションの「要(かなめ)」の要素です。説明力を高めることが、職場のコミュニケーションをよりよくすることにつながります。

(1)徹底的に準備する

 効果的に説明するためには、まずは準備が大切です。準備のポイントはふたつ。自分が説明する事柄を十分理解する。そして、説明する相手の理解度を把握することです。

① 自分が十分理解する

 自分が十分わかっていないのに、相手にわからせることはできません。自分ができるだけ理解することが大切です。効果をあげたいなら、十二分に理解すること。十分では足りないくらいに考えてください。「氷山の一角」ということわざがあります。明らかになったことは、物事全体のわずかな部分だというたとえです。実際に氷山は、見えている部分の10倍程度の氷が海面に沈んでいるそうです。説明をするときも実際に話すことの10倍くらいの準備が必要だと私は考えています。これを「氷山の原理」と勝手に呼んでいます。話そうと予定していることをすべて話せますか?スピーチやプレゼンで一生懸命準備して臨んでも、予定したことが十分に話せず、首をかしげたことはありませんか。あるいは、話した内容に関連した他のことを質問されたら、ハタと困ってしまいますね。内容的な余裕しろを持つ必要があるのです。これだけ話そうと思ったら、その内容の十倍以上、広く深く関連する事柄を調べておく必要があります。

図 氷山の原理

 ところで、十分に準備しましょうとお話ししますと、全文原稿を書いて一字一句暗記しようとする方がいます。これはあまりよい方法とは言えません。暗記しますと、話していても原稿を読んでいるような印象を聴き手に与え、十分に伝わらないことがあります。また、おおぜいの前で緊張して話していますと、途中でぱっと暗記した内容が消えてしまうことがあります。また、忘れてはたいへんだという思いが余計に緊張を生むことになります。暗記ではなく、内容を理解し、消化するように準備してください。

 一つの方法として、物事を関連づけて理解できるよう説明する内容を構成しておくとよいですね。例えば、地元の「祭」について説明するとします。祭の由来、催しの内容、祭の参加者、見物客、地元の意気込みなどですね。新製品の説明であれば、製品の特長、従来製品との違い、開発に苦労した点、新製品への期待などと関連づけて話したらいかがでしょうか。

② 相手の理解度を知る

 どんなに自分が理解していても相手にわからせるのは難しいですね。学校の先生が学生や生徒たちに十分わからせることができているかを考えればよくわかります。少なくとも相手の理解度を知って、それに対応していくことが大切です。

 まずは、説明しようとする事柄を相手がどこまで知っているかを把握することです。知っていることをくどくど話す必要はありませんね。そんなことをしてしまうと聴き手は飽きてしまい、聴かなくなります。それとともに、聴き手の理解力や意見、立場を把握することです。専門家なのか、一般の社会人なのか、子供なのか。説明しようとする事柄に対して好意的な考えを持っているか否か。経営層か、行政職か、ビジネスパーソンかなどです。事前に確認することができればいいですね。できない場合は、その場で説明するときに質問をして把握するとよいでしょう。どうしても十分につかめない場合は、原則として義務教育終了(中学生が理解できる)レベルで話すとよいでしょう。

 それから、どこまでわかったか確認しながら話すことです。一方的に話しても効果はあがりません。話の段落ごとに、話についてきているか、聴き手の反応を確認します。ポイントでは、質問を投げかけるなどして、わかっているかどうか確認するようにします。

 自分が十分に理解した内容を相手の理解度に応じて、効果的に話す。そのために徹底的に準備する。努力は必ず実ります。説明力をつける努力を続けましょう。

(2)効果的な説明のしかた

 どんなにしっかり準備をしても具体的な説明のしかたが適切でなければ効果はあがりません。特に次の点を意識して説明してください。

① 予告する

 まずは何について話すのか、あらかじめ相手に知らせることが大切です。相手に聴く準備をさせます。また、なぜ話すのか、説明する目的を伝えます。そして、どのくらいの時間話すのか。どのような内容かを知らせるとよいでしょう。

 話の効果は誰が話すかによって変わるのですから、なぜ自分が話すのか、相手に納得させることも必要ですね。

② 順序を正す

 思いつくままに話しては、聴き手を混乱させるだけです。「いったい何が言いたいのだ」「支離滅裂でわからない」といった印象を与えかねません。順序だてて話すことが大切です。「聴き手の心の法則に従って話せ」でしたね。あるいは「聴き手に対応し、順序だて整理して話す」のですね。

 順序だててまとめる方法を以下に示しますので、参考になさってください。

・時間の順序

 過去、現在、未来のように時間の流れに従って話をします。「若いころは~でした。今は~です。将来は~をめざしています。」「以前の製品は~。現在主流は~。これからは~のような製品を開発していきます。」などとします。

・空間の順序

 観光案内や展示場の案内の際に、あっち行ったりこっちに来たりでは困りますね。「まずは左手をご覧ください」と言って、左手の方にかかわる話を完結させ、「次に、右手をご覧ください」としますね。天気予報もそうですね。通常は、西から東、南から北へ、順にその地域の天気を伝えています。

・因果関係の順序

 原因を話してから結果を話す。あるいは、結果を話して、その原因を明らかにする。どちらでも構いませんが、原因を話しているときは原因のみ。結果を話しているときは結果のみ。しっかり整理しましょう。

 その他、重要なことから話す重要度の順序、あるいは優先度の順序。簡単なことから話して、難しいことへ。あるいはその逆に、難しいことから話して簡単な話へ、難易度の順序です。

 いかがですか?話す順序を決めて話を整理しましょう。

③ わからせるための具体的な工夫をする

 ことばだけで相手にわからせようとするのはたいへん困難です。伝わらないものです。例えば、次のような図形をことばだけで相手に描かせることができますか? 無理ですね。聴き手に伝えること、わからせることが目的ですから、見せればよいのです。

 ライオンを知らない人にことばだけでライオンについて説明しても、おそらくわからないでしょう。写真を見せる、動画を見せる。あるいは動物園に連れていけばわかりますね。

 このように、説明の効果をあげるために必要な工夫をすることです。わかってもらうためにはどうすればよいかを考えて実行しましょう。実物や模型を使う。図表を使う。写真を使う。動画を見せる。具体的な例を語る。等々。ことばだけに頼る必要はありません。ただし、効果があがるように工夫しましょう。

④ 十分に伝わっていないようであれば、視点を変えてみる

 説明する事柄にはいろいろな側面があります。例えば、祭でしたら、歴史、催し、見物客、期間などです。テレビならば、画質、どのような番組が見られるか、他の機器を接続できるか等でしょうか。「視点を変える」とは、ある側面から説明してもわからなければ、他の側面から説明してみるということです。わからないのに、何度も同じことを話していても効果的ではありません。聴き手に柔軟に対応しましょう。また、十分な理解が得られない場合も、視点を変えてみると効果的です。

 俳優の八名信夫さんが出演した青汁のCMを覚えていらっしゃいますか? 八名さんが青汁をもってグイっと飲み干す。ものすごい形相で「まずい!」という。そして少し間をおいて、「もう一杯!」。このCMは当時かなり話題になり、青汁の知名度、売り上げに貢献したそうです。この説明はいわゆる「視点を変える」ですよ。「味」という側面から語れば、正直「まずい」。 しかし、健康という側面から考えれば、「もう一杯」飲んでもよいほどの商品だということを伝えています。

 視点を変えて話す。生かしてください。

⑤ 確認しながら話す ~ 質問する・質問させる ~

 一方的に話しては、聴き手が理解したかどうかをつかめません。ポイントポイントで理解しているか、話についてきてくれているか確認しながら話すことが大切です。

 聴き手の反応や表情から推測することもできます。首を振っていたり、ポカンとしていたり、難しい表情をしているようであれば、補足説明が必要かもしれません。

 ところどころ質問しながら説明してもかまわないのです。いえ、そのほうが効果的だということを忘れないでください。ただし、質問する場合、次のことに注意しましょう。

・相手の自尊心を守る

 ぶっきらぼうな質問や、上から目線の質問にならないよう注意してください。感じよく質問することを心がけましょう。相手の自尊心を傷つけない配慮が必要です。

・一時に一事の原則を守る

 同じ人にいくつも質問しないように。原則、一人に一回(一時に一事)が適当です。

・答えやすい質問を工夫する

 「~さんはいかがでしょうか?」「???」何を答えてよいのかわからないような質問は避けましょう。「PCをお持ちですか?」「普段何にお使いですか?」など具体的に答えられる質問を工夫します。

・答えられない時の配慮を忘れない

 質問しても「わかりません」や「。。。」無言の場合、相手への配慮を忘れないようにします。「突然質問しまして失礼しました。」「あらためて質問されると難しいですよね。」などとフォローして、答えを示すとよいですね。

 また、聴き手に質問させる時間を取りましょう。わからない点を補足説明することができますので、効果的です。この場合、質問しやすい雰囲気を作ることが大切です。質問が出るということは、説明の効果をあげることができるチャンスです。自分にとって有益なのです。ですから、「たいへんわかりやすく説明したつもりです。これでわからないということはないと思いますが、何か質問ありますか?」などと言っては、質問したくてもできません。「一生懸命説明しましたが、行き届かない点があったかと思います。疑問点やご意見などおありでしたら、ぜひおっしゃってください。」などと質問を促すとよいでしょう。そして質問者には「良い質問をありがとうございます」などとお礼の気持ちをきちんと伝えることを心がけてください。

 質問に答える場合は、質問の意図を外さずに、まずは質問されたことから答えていくようにします。よくわからない質問の場合は、感じよく逆質問しながら、相手が理解でき、納得できるよう、わかりやすく話す努力をしてください。

⑥ まとめをする

 しっかりとまとめができれば好印象です。まとめでは、次の項目からその場に対応して選択するとよいでしょう。

・要約する

・感謝のことばで終える

・印象に残るキーワードを伝える

・余韻を残す

・期待、願望を述べる

・協力を求める

・タイトル 「~について説明しました」で終える

⑦ わかりやすいことばを使う/誤解されやすい点に気を配る

 とにかく、わかってもらわなければ、独り言とかわりません。わかりやすいことばで話すこと。自分がわかっていても、聴き手がわかるかどうかわかりません。専門用語やカタカナ語は要注意です。使用する場合はその意味を補足説明するなど気を配るようにしましょう。それから、誤解されやすい点に気をつけます。同音異義語、類音語などを意識しましょう。もう一度、7章の「話の効果をあげる表現の三原則(3)わかりやすく話す」をふりかえってください。

(3)説明の受け方

 どんなに上手に説明しようとも、受ける側に多くの問題があれば効果は期待できません。話は話す側と聴く側との共同作業です。聴く側、すなわち、説明を受ける側もそれ相応の努力をしなければなりません。説明を受ける際は、次のことに気を配るとよいでしょう。

① 何をわからせようとしているのかを「正確に」つかむ

 まずは傾聴です。8章の「傾聴力を磨け」をふりかえってください。個々の「ことば」にとらわれすぎないことです。表面的なことばの意味ではなく、相手がどういう意味で「ことば」を使ったのかを考えるようにしましょう。また、特定の部分にとらわれすぎないように。全体を把握したうえで、何を説明しているのか正確につかむ努力をなさってください。

② 段落ごとの要点をつかむ

 段落ごとに自分のことばで要約してみましょう。

5W3H(WHY,WHAT,WHO,WHEN,WHERE,HOW,HOW MANY,HOW MUCH)を押さえてください。各段落の要点を忘れないようにメモしておくことも大切です。

③ 部分と部分、部分と全体との関係を考えながら聴く

 段落間の関係や、今まさに聴いている段落と全体との関係を考えながら聴くようにしましょう。例えば、最初の段落では肯定的な立場を紹介していたが、この段落では前の段落とは反対に否定的な意見を紹介している、というように。

 また、「野球のルールについての説明だな。今は守備について話しているな。ここから攻撃の話だな。」このように、いっぺんに説明できませんから、順を追って説明されるでしょう。話されたことと、今話していることの関係。全体に対して今話していることとの関係。これらをつかみながら聴くと効果的に理解できますね。

④ 主要なことばや例を聴き逃さないように聴く

 主要なことばや、具体例は理解するための大切な要素です。聴き洩らすことがないよう、忘れないように、メモを取りましょう。

⑤ わからないことは質問する

 わからないことをそのままにしておいてはいけません。話し手はわかったものと思いますから、後になって問題が生じることもあります。わからなかった箇所を話し手に情報提供する意味もあります。遠慮せずに、質問をするようにします。ただし、相手への配慮を忘れてはいけません。感じよく、わかりやすく、手短に質問する努力をなさってください。質問する前に、メモを取って質問する内容をまとめておくと効果的です。また、途中で質問されては説明者も混乱するかもしれません。原則として、最後にまとめて質問します。しかし、内容によっては、すぐに回答を得ないと、理解が進まないこともあります。この場合でも、話している途中ですぐに割り込むのではなく、質問できる適切なタイミングを考えましょう。

 

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